ねこのあな


― 森のねこのたわごと ―


ノルウェーで買ったもの。 (北欧ねこ三昧珍道中記 13)

同行していた今泉さんは、以前に一度ノルウェーには来たことがありました。
ですから、オスロにつけばホテルも前に泊まったところだし平気だろうと思っていたのです。が。
よくよく聞けば、前回の旅行は、現地で通訳の方を雇ってのものだったのだそうです。(お大尽!)その方が優しい方で、駅まで車で送ってくださったり、なにかと面倒をみていただいたため、場所もうろ覚え。
結局迷った末にようやく目的のホテルを見つけ、落ち着きました。

嵐のようにねこ巡りをしたスウェーデンとは違い、ノルウェーでは今泉さんが知っているブリーダーの方々をいくつか訪ねるだけだったので、今度はのんびりできました。
大きな駅や、ショッピングセンター、きれいな公園などを回りました。
夕方、遅くなっても明るく、街もにぎやかです。
私は念願の本屋さんに行き、辞書やらペーパーバックやらを長い時間かけて物色しました。とても美しいノルウェージャン・フォレスト・キャットの本も買えました。おかげで帰りの荷物の重かったこと。

本と言えば、私の小さな頃のお気に入りの本に、「やかまし村シリーズ」があります。出てくる子たちは「オッレ」だのという不思議な名前で、自分たちで言葉を作って話し合ったり、お誕生日にお父さんから作ってもらった小さな家具のあるおうちでお茶を飲んだりするのです。
引っ越しのごたごたでなくしてしまったのに、よく覚えている本です。子供どうしでお茶会をするなんて、しかも小さな家具やお菓子があるなんて!って、すごく羨ましかったから。

今回の北欧旅行の前に、(あれは名前や状況から言って、北欧のものじゃなかったかな)と思い立ち調べてみて驚きました。リンドグレーンのものだったからです。
リンドグレーンって、とても有名な童話作家ですよね。「カッレくんシリーズ」のことは知っていたのに、やかまし村のことと結びつかなかったなんて。
北欧にはすてきな童話がたくさんあって、小さな頃読んだあの本もこの本もそうだったんだなあって改めて感動しました。
なつかしくてうれしくて、読めもしないスウェーデン語版の本を買ってきてしまいました。

結局、ノルウェーでも、いわゆる観光はせずに、ねこと本を見て回ったということですね。思い返してみて自分でもちょっとあきれています。

1999年5月14日

旅の終わり (北欧ねこ三昧珍道中記 14)

さて。
なんと前回から半年以上たってしまいました。
別に忘れていたわけではなく、最初の頃はただ単に忙しくて手が回らなかっただけなのですが、時間がたつにつれて記憶も新鮮さを失い、なんとなく書くのが億劫になってしまって。
「あの続きは?」とも聞かれるし、のどに刺さった小骨のように、いつも気にはなっていたのです。
もう、今年中には北欧旅行記を終えるぞ!と決意して書いてます。(それほどのもんじゃないってば)

実は、ノルウェーでの記憶って、ビョルンさんのお宅でおいしいサーモンとルバーブ・タルトをいただいたこと、ランディさんのお宅でワッフルをどっさりいただいたこと、エリザベスさんのお宅でクッキーをいただいたこと(みなさんノルウェージャン・フォレスト・キャットのブリーダーさんで、とてもお世話になりました)など、食べたことばかりが鮮明なのです。
ハードな旅も終わりに近付き、疲れもたまっていましたし、ノルウェーではとにかくのんびり過ごしたので、優しくしていただいたことや、美味しかったものなどがありがたかったのかもしれません。

ノルウェーから発つ朝、私たちは子ねこを2匹キャリーバッグにつめてタクシーに乗りました。お友だちから頼まれてブリーダーさんから連れて帰った子と、今泉さんが一目惚れして衝動買い(?)した子です。帰りは博多人形ならぬノルウェージャンが道連れになりました。

ねこが一緒にいるって、やっぱり和みます。
気のいい運転手さんが彼らのことを聞くので、「私たち、ノルウェージャンを見に来て、この子たちを連れて帰るのよ」と答えると、他の人同様「日本から!」とびっくりしましたが、「そりゃそうだ、ノルウェージャンはすばらしいねこだ、うちにもいる」と誇らし気に言うではありませんか。それからはタクシーの中でもねこ談義に花が咲いて、空港まであっという間でした。ねこ好きは国境を超える、だよなあ、とわけのわからない感動をしつつ、車を降り、空港へ向かいました。

ねこたちを手荷物として客室に乗せることは、前もってホテルから航空会社には連絡してありましたが、少し心配でした。厳しい規定がある会社もあり、急にだめだと言われるかもしれないし、電話で確認したよりもずっと高い超過料金を請求されるかもしれません。でも、それは杞憂でした。
窓口のお兄さんもお姉さんも、みんな、可愛いとか、欲しいとか、うちにもいる、だとか、そんなことしか言わず、笑顔でチェックインできたのです。
貧乏旅行なため、エコノミーで、周りの座席はフランス人のおじさん・おばさんの団体で、そりゃもううるさかったこと以外は、ねこたちもいい子で、無事帰国できました。

その後もう一度スウェーデンに行く計画がありましたが、私だけパスポートの期限がわずかに足りないことが直前に判明し、まぬけにも一人断念しました。
今はもう10年有効なパスポートを取りましたから、準備は万全です。また是非北欧に行きたいなあ、今度はフィンランドにも、あと、アイスランドにも行きたいなあ、と思っています。次回はねこの他に観光もありで、と。

1999年12月31日


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