ねこのあな


― 森のねこのたわごと ―


ノルウェーへ向かいましたが。 (北欧ねこ三昧珍道中記 11)

スウェーデンでのねこ巡りも終わり、本来の目的地であるノルウェーに向かう朝が来ました。
交通手段は、一番楽で景色もきれいだし、何より安いから、とバスを選んだのです。
とても美しい朝で、バス停へもちゃんと着いて、切符も買うことができた私たちは御機嫌でした。

北欧のバスはみなとても大きくて、まん中に蛇腹のようなものがついています。窓も大きくて、絵はがきのような景色を見たり、今までみたねこたちの話をしたり、のんびり楽しく乗換えのステーションまで過ごしました。
ここで、ノルウェーのバスに乗換えるため、しばしの休憩です。
キオスクのようなお店で、ホットドックやミネラルウォーターを買って、軽いお昼ごはん。
バスケットに小さな黒ねこの赤ちゃんを入れてる女の人を見つけて、また写真を撮らせてもらったり、ひなたぼっこをしたりしていました。ほんとにのどかな午後でした。

ただ、ちょっと気掛かりなことが。
壁にはってある紙に、どうやらその日ストライキがある、と書いてあるようなのです。でも、スウェーデン語とノルウェー語なので、いまいちはっきりわかりません。
でも、バスはちゃんと走ってたし、オスロまでの切符を売ってくれたから、違う路線だよね、と不安を打ち消す私たち。

そこへ、スウェーデン女性が話し掛けてきたのです。
「あなたたち、オスロへ行くんじゃない? 私もそうなんだけど、ノルウェーのバスがストライキしてて、行けないって言われたの。知ってる?」
どしぇーっ!!! 知らない! いや、気付かないふりしてた!
彼女は、私たちがノルウェーのバス停付近をうろついていたので、親切に教えてくれたのでした。

彼女が私たちに気付いてくれたのと、英語を話したので本当に助かりました。
「タクシーで行けばって言われたわよ」と彼女が言うので、ぬ、ぬわにー!っと、バス会社の人のところへすっとんで行きました。

バスを待ちながらもねこハントをする。ソロって名前の可愛いこねこ。

お気楽な頃の今泉。

こーいうバスに乗るつもりだった。トホホ。

1999年1月8日


貧乏旅行者、勝利する。 (北欧ねこ三昧珍道中記 12)


「おうおうおう、自慢じゃないけどな、オイラたちは筋金入りの貧乏旅行者なんでえ!タクシー? なんじゃそれ? そんなもんで行けるようなら、ここでチンタラバス待ってねえぜ! おう、兄さんよ、なんとかしやがれ!」ってなことを言っちゃるで、の気分で乗り込みましたが、あちらはのーんびりしたものです。
でも、こちらには、すでにノルウェーまでの切符を買ってあるという強みがあります。こういうときにははっきり強くでないとダメだ!と経験上わかっているので、あくまでも食い下がりました。ガンバレ、貧乏旅行者たち!

事務所に入ると、数人のでっかいおじさんたちがのんびり座っていました。オスロまで行くはずだったんだけど、どうなってるんじゃ?と話しかけると、一番年長らしいおじさんがヤレヤレってな雰囲気で出てきました。
だからさー、ストなんだよ、タクシー拾って行ってくれないか、とやっぱり言うので、私はかつての仕事で鍛えられた厚顔さでくいさがりました。(昔、仕事ですんげー無理を言う上司の下で「そこをなんとか」というのばかりやってたのです。)

私たちはマジで貧乏旅行をしてること、スウェーデンの友だちが移動するならバスが最高と推薦したこと、今朝オスロまでの切符を売ってくれたこと、そのとき何にも言われなかったこと、スウェーデン語もノルウェー語もわかんないのに張り紙はその2つの言葉でしか書いてなかったこと(よく考えたら当然なんだけど)、北欧の人々は親切だと思ってたのに、など、まくしたてました。
はいはい、わかったわかった、とおじさんは私たちの人数を確認しました。
そして、タクシーを呼んでくれたのです。

私たちや、ストのことを教えてくれた親切な女性の他にも、数人同じ憂き目にあった人たちがいたので、全員が2台のタクシーにギューギューに分乗してオスロに行けることになりました。
まったく、やれやれです。

同じタクシーに、若い女の子が乗っていました。彼女はノルウェーで勉強している学生で、家に帰っていたのだそうでした。
彼女もねこを飼っていて、またもやねこ話で盛り上がりました。まったく、とことんねこ旅行だ。
親切な彼女にホテルへの行き方を教えてもらい、私たちはオスロのバス停でわかれました。
またも優しい人々に助けられて、私たちは無事ノルウェーに辿り着くことができたのです。みなさん、ほんとにありがとうございました!

1999年3月7日


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