ねこのあな


― 森のねこのたわごと ―


お城でのキャットショー。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 19)

翌朝は昨日の寒さが嘘のように晴れて暖かくなりました。
朝ごはんはお庭が見えるすてきなダイニングで北欧風のものをたっぷり食べました。ああ、ここでの朝食はすてきでした! 暖かくておいしいパンと味の濃いジャムやプリザーブ、濃いコーヒー! オレンジを自分で搾って飲めるジュースメーカーまでありました。
二人で朝食をもりもり食べていると、声をかけてきた女性がいました。以前からメールのやりとりなどしているスウェーデンのブリーダーの人でした。今泉さんがヴァドステナでのショーに来ることをメールで連絡していたので、場違いな東洋人2人を見て(とは言われなかったけど、たぶんそう)「あっ、絶対そうだ」と思ったのだそうです。(実際会ったことはなかったのです。)彼女はお友だちとこのホテルにコーヒーを飲みに来ていたところだそうで、じゃ、会場でまた会いましょうね、と別れました。

朝ごはんの後、庭で小鳥にパンをあげたり、コーヒーを飲んだりしてのんびりした後、ホテルをチェックアウトし、荷物だけフロントに預けてショーに向かうことにしましたが、ここでいきなり夕立ちのような激しい雨! 傘を持ってこなかった今泉さんはフロントの人から1本傘を借りて、私は荷物から傘を取り出し、雨の中出かけました。ほんとに夕立ちのような雨で、道の中ほどでやんで、傘はじゃまな荷物になってしまいました。どうもタイミングが悪かったみたいです。

ショーが開かれるお城の回りにはキャンピングカーを後ろにくっつけた車がたくさん止まっています。いつも使っている車の後ろにキャンプ用の四角い車をつけて遠出するのは、こちらではごく普通のことのようでした。
前回の旅行のとき、車の後ろの方に小さなしっぽみたいなものがついているのを不思議に思って聞いたら、「ここにキャンピングカーを繋ぐのよ。日本じゃしないの?」と逆に聞かれてしまいました。そうか、あれはこうやって使うのかあ、と納得しました。ヴァドステナは小さな観光地なので、旅行も兼ねて楽しみながらショーに来るのかしらね、と、日本とは違うショー事情に感心した私たちでした。

どっか変ですけど一応車のつもり

お城に入ると、ショー関係者がいっぱいいました。順路通り進んでいくと、昨日は入れなかった1階部分でショーが行われていました。おそらく昨日は準備のために閉鎖されていたのでしょう。小さいとはいえお城なので、驚くほどの広さでした。

日が高くなってきて外は暑くなり始めていましたが、石造りのお城の中はひんやりしていて、短毛の子などはむしろ寒そうなくらいでした。

ショーは朝早くから準備が始まっていたようでした。
まず、出るねこたちは獣医さんの診断を受けなければならないので、関係者はとても早い時間に会場に入っていなければならなかったようです。
私たちもかなり早くに会場入りしたのですが、もう1通りの準備は終わった後、という感じで、みんな久しぶりに会ったお友だちと歓談していたり、ケージの中のねこたちと遊んだりしていました。

とにかく広くてたくさんねこがいるのに感動した私たちでしたが、あまりの広さにちょっと途方にくれてしまいました。さっきホテルで会ったイングリッドさんを見つけることができたので、まずは彼女のねこたちの写真を撮らせてもらいました。そして、あのあたりにノルウェージャンがいっぱいいるわよ、と教えてもらって見に行くと...。いやー、すごい! いっぱいいる! それも、日本ではまだまだ少ないレッドやブラック&ホワイトの子がどっさりいます。二人でわーきゃー言いながら見て歩きました。

2001年5月10日

キャットショーの続き。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 20)

ホワイトの子たちをたくさん産出している有名なブリーダーの人にも紹介してもらいました。とても気さくな人で、ショーに出る子たちを次々見せてくれたり、写真を撮らせてくれたりしました。
実は、私にとっては、ここで密かに思わぬ発見がありました。
「私はホワイトの子の毛がダメだぁ」
どうも柔らかくて細いようなのです。鼻がクシュクシュしだして痒くなってきたので、ちょっと中庭に出ることにしました。すると、中庭にはちょっとした休憩所があって、飲み物を飲んだり煙草を吸ったりしながら歓談する人たちがたくさんいました。なんだかちょっとしたお祭りみたいです。

その後もねこ巡りをして、ねこに付き添っているブリーダーの人たちとお話したり、ショーのジャッジングの様子などを見学したりしました。
この、ジャッジングの様子がまた楽しかったのです。大きなテーブルがあって、そこに乗せられたねこがジャッジの人に審査されるのですが、とてもリラックスしているねこたちが遊びながらそこで眠ってしまったり、ジャッジの人にだっこをせがんだりして、それはかわいらしいのです。
そして、そんな子たちを前に、ジャッジの人が「この子のどこが素晴らしいか」を説明します。「悪いけど、ちょっとおきてくれない?」なんて眠った子に言いながら立たせて、しっぽの長さが十分でしょう?なんて、しっぽを頭の方に折り返して見せてくれて、「いいわよ、また眠っても」と言うと、見てる人たちから笑い声が上がります。なんだか「審査」という感じではありませんでした。

とにかく可愛かった!

たっぷりねこやショーを堪能して、ついでにここでもキャット・ファニチャーを見て、ショー会場であるお城を後にしました。

ヴァドステナでは雨に祟られたようで、あれほど晴れていたのに、荷物を取りにホテルへ戻る途中、またしても激しい雨に降られてしまいました。
雨は傘があまり役に立たないような激しさで、ホテルに着く頃にはすっかり濡れてしまったのに、着いたらからりと晴れるではありませんか。
んもう!と運のなさを嘆きながら、でも借りた1本の傘を返せたのでほっとしてバス停に再出発しました。

またバスと電車を乗り継いで、今度はスンズバールというところまで出かけます。
スンズバールにはブリーダーさんのお宅があり、こちらに伺うのが今回の旅行の大きな目的の1つでした。
そうです、ここに今泉さんの家に来る子を迎えに行く予定なのです。
可愛い子ねこに会える! ほかのねこたちにも会える! そう思うと、長い道のりもなんのそのです。日本ならばもうとっぷり日も暮れているだろう頃(でもまだまだとても明るいのです)、X2000はスンズバールに着きました。

2001年5月25日

ブリーダーさん宅に到着。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 21)

スンズバールの駅には、お世話になるブリーダーさん一家が迎えに来てくださっていました。それが、全員とても大きい!小学生のお嬢さんたちもものすごく大きいのです。全員がジャンボなので、ご家族で並んでいると全く違和感がないのですが、私たちが加わると縮尺が違う感じです。いいなー。
私は背が伸びるのが早すぎて(小学校3年から4年にかけてが一番伸びました)その後伸び悩んで結局チマチマと仕上がってしまったタイプなので、ものすごくうらやましく思いました。小学生の頃には、大人になったら170センチくらいになるんじゃないか?と言われていたのに(母がでかくて、165センチもあるので)中学校以降にはごくわずかしか伸びず、今では日本人の平均身長よりちょっと低いかも?という程度。満員電車では窒息しそうになるし、洋服も着映えしないこと甚だしいし、海外で洋服(含靴)を買おうとしてもお子さまサイズになっちゃうし。なまじ背が高い(相対的に、ですが)時代を経験しただけに、「あたしゃも少し背が欲しい」と常々思っていましたから、このジャンボで手足の長いお嬢さんたちは当然垂涎の的です。
私たちは二日間このお嬢さんたちの部屋に泊まらせてもらいました。可愛い子供部屋で、子供用のベッドでしたけど、もちろんサイズ的には何の支障もありませんでした...。

ブリーダーさんのお宅ですから、もちろんねこたちにも会えました。ネットでよく知っている子たちなので、本物を見て感激。
今泉さんのところに来る子は「ファティマ」という名前で、お母さんねこに甘えたり、下のお嬢さん(私たちが密かに「ジャンボ・ベビー」と呼んでいた6歳の子)といい子で遊んでいました。彼女の兄弟姉妹はすでに養子に出ていて、この子だけが私たちの到着を待っていたのです。ですから、このお宅ではその頃唯一の子ねこになっていて、お母さんねこは一人占めだし、家族全員、特にお嬢さんたちからそれは可愛がられていましたから、出発の日が少し心配になりました。

その日の夜と、次の日には恒例のねこ訪問がありました。
このブリーダーさんがブリードしたねこたちが近所にいるというので遊びに連れて行っていただいたのです。
白夜の薄暮の中、緑の芝生の上を走るノルウェージャンたち!
どれほど美しくて感動したか、ご想像ください。
また、たくさんのノルウェージャンをペットにしているお宅にも伺いました。全員去勢された男の子で、大きくてフカフカでりっぱなのです。中でも真っ黒な男の子が貫禄あっていいなあ、うちのつれあいが欲しがるだろうなあ、と思いました。
愛猫家の家を訪ねるといつも思うのですが、ことねこに関しては言葉なんていりません。とにかく楽しくて、和気あいあいと盛り上がりました。

2001年6月25日


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