ねこのあな


― 森のねこのたわごと ―


更に観光は続く。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 16)

楽しい観光の後は楽しいお買い物をしよう、とさっき通ってきたお土産屋さんの通りへ向かいました。
小さい頃の思い出のせいか、私はこういうところへ来ると、どうしても「江ノ島みたい」と思ってしまいます。近くに住んでいたので、夏になるとよく遊びに行っていたからでしょうか。実際の江ノ島があんな風だったかどうか、最近はとんと行かないので定かではないのですが、狭い路地にお土産屋さんが立ち並んでいると、なぜかそう思ってしまうのです。北欧に来て江ノ島もないもんだろうに。

冷やかしながらお店を次々のぞいて歩きました。
いかにも「お土産屋さん」といった風情の北欧グッズのお店から、すてきな版画やオブジェが置いてあるお店、キッチュなおもちゃのお店、「絶対間違ってる!」と叫びたくなるような日本語入りのTシャツのお店など、実にたくさん並んでいます。
この、怪しい日本語入りのTシャツ、今回の旅行ではあちこちで見かけてはのけぞりそうになりました。個人的に一番受けたのが「業田良家」とでかでかと書かれたもの。ご自分の名前が知らないうちにTシャツになって誰かの胸で惨然と光ってる(?)というのは、どういう気分でしょうか。
面白いけど、日本じゃとても恥ずかしくて着られないので買うのはやめました。

今泉さんは留守中ねこの面倒を見てくださっているお母さまのために、暖かい北欧風のストールを買いました。一言でねこの面倒を見ると言っても、半端な数のねこじゃないので、家庭平和のために!そして、次回も(また来るつもりだあ)気持ちよく送りだしてもらえるように!とかなり奮発していました。(笑)
私は迷った挙げ句、結局黒い木製のねこのシルエットと、同じテイストの黒いねこのキーハンガーを山の家用に買いました。
それから、なんとなく可愛くておかしいし、いかにも北欧っぽい!という単純な理由から、小さなエルクのぬいぐるみを買いました。ノルウェーものなんですけどね。

しかもノルウェーのやつだし。

でも、これだけ買うだけでも大変だったんです。ものすごく混んでいたから。
さっき王宮ですれ違った関西からのおばさまたちにはここでも会いましたが、みんなとてもお元気で、バンバンお土産を買い込んでいました。うーん、日本人観光客はお金を持ってるんだなあ、とちょっとうらやましい私たちでした。

石畳の道を散々歩いて疲れたので、裏道にあったキャフェテリアで一休みすることにしました。(表通りのお店は団体さんで混んでいたのです。結局いつも裏通りへと入ることになる運命なのでしょうか)
お茶を飲みながら買ってきたお土産を開いてみたり、バスの路線図を見ながら帰り道を考えたり。
それからバスでのんびりホテルまで戻りました。ちょっと観光客になれた楽しい1日でした。
やっぱりこういう日が1日でも入るのっていいですね。

2001年3月25日

X2000に乗りました。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 17)

翌日、おでんホテルをチェックアウトして、次の目的地・ヴァドステナに向かいました。ヴァドステナではお城で開かれるというキャットショーを見学する予定です。

ヴァドステナは小さな観光地のようで、ここへのアクセスはとても悪く、移動だけで半日かかってしまいました。電車やバスを何本も乗り継がなくてはならず、かなり緊張します。(うっかり間違うと変なところで宿無しになってしまう〜)

最初に乗ったのは「X2000」という特急電車でした。たぶん新幹線みたいなもんなんだー、くらいに思っていましたが、ネットで調べたら鉄道ファンの方のサイトなどにもちゃんと載っていて、スウェーデンが誇る最速のカッコイイ電車のようです。
新幹線と違うのは全席指定なこと。また、一等車と普通車の料金差はグリーン車と自由席の料金差よりずっと大きかったと思います。出発前に調べたとき、最初この電車はめちゃくちゃ高いぞ、どうしよう、と二人してビビッたのですが、これは一等車の料金で、普通車の料金はぐっと安かったのでほっとしたのを覚えています。
一等車に乗ると食事も出るようで、思いきってこちらに乗ってみようかという話もでましたが、食べられないものだったらつまらないし、なんと言ってもビンボー旅行だし。でまあ、結局安い方の車輌に乗りました。

X2000はさすがにきれいでカッコよかったです。ちょっとした喫茶店風。
一番驚いたのは座席構成。新幹線みたいに整然と座席が並んでいるのではなく、1人掛けの座席や、2人掛け、4人掛けが混じっているのです。しかも1人掛けは座席が二つ並んでいるわけではなくて完全な1人用。2人掛けはその座席が向かい合わせになっていて、間にテーブルがあります。4人掛けは座席とテーブルが2人掛けの倍の長さになっています。

これって、なかなかいいなって思いました。カップルなら仲良く向かい合って二人の世界ができるし、家族や友だちとの旅行は大きなテーブルにお菓子やお弁当を並べて楽しめるし、一人で静かに読書もできます。
完全座席指定なので、おそらくチケットを予約する際に指定することができるのだと思います。私たちはたくさんのチケットをバタバタ予約したし、外国人なのでシステムもわからないだろうと予約所のお姉さんが考えたのか、聞かれませんでした。
私たちの席は4人掛けの隣2席になっていましたが、向い側の席の親切な女性が「お友だちどうし向かい合った方が楽しいでしょう」と言ってかわってくださったので、窓際の席でテーブルにおやつを広げてのんびりできました。

X2000の後はバスを2本乗り継ぎました。この乗り継ぎが一番のドキドキもの。なにしろ、日本でだってバスに乗る時は「ちゃんと目的地に着くか?」と心配になる私たちなのですから。
いつもの通り、バスの時刻表を確認して、その上運転手のおじさんたちに「これはどこどこに行きますよね???」としつこく確認したことは言うまでもありません。おかげで無事ヴァドステナにたどり着けました。よかったよかった。

2001年4月11日

美しい町・ヴァドステナ。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 18)

バスを降りて、まずはホテルに行こう、と歩き始めましたが、私たちの泊まるホテルは町の中心からは外れたところにあったので、なかなか見つかりませんでした。
ここのお城で開かれるキャットショーの関係者や観光客が多いためか、めぼしいホテルはどこもいっぱいで、ようやく見つけたホテルでしたから、実はあまり期待していなかったのです。
ところが、たどりついてみるとこれが大当たり!
広い芝生の庭があるすてきなホテルでした。
お部屋自体は小さくて普通なんですが、庭にはベンチや東屋があって、小鳥がたくさんいます。こんなところでねこの写真が撮れたらいいのにね、それより、こんなお庭がある家に住めたらもっといいのにね、とおしゃべりしながら散歩しました。
この町の近くに大きなゴルフ場があるらしくて、ここはどうやらそのゴルフ場に来る人々によく利用される場所のようで、ロビーにはその日行われた試合のスコアなどが張り出されていました。


翌日は朝からお城でのキャットショーを見学して、お昼過ぎにはもうここを発たなければならない予定だったので、ヴァドステナの町やお城を見る時間はこの日しかありません。そこで、ホテルを一通り散策した後は町へ出ることにしました。

ヴァドステナはかわいらしいお城を中心とした小さな美しい町でした。
夏とは言え、風が冷たい肌寒い日で、ときおり雨が降ったりしていましたが、通りは観光客でにぎわっていました。
夏祭りといった風情で、さほど長くないメインストリートには、露店や、この地方の名産であるらしいレース編みを実演しているおばあちゃんたちが並んでいます。
このレース編み、実に細密で美しいものでした。針で編むのではなく、台にピンをたくさん刺し、これに重りをかねた木の糸巻きに巻いた細い糸を何本も何本もかけて、組んで編んでいくのです。ねこがいたら絶対できない技です。

お城の中にも入りました。
白っぽい石でできていて、小さなすりへった階段を登っていくと、美しいチャペルや、たくさんの肖像画が展示されている部屋などがありました。ていねいに見学していると「こんなところでキャットショーなんてできるの???」と、日本を発つ前からの疑問がまたわいてきます。
お城の入り口近くにある事務所で確認しましたが、やっぱりここで明日ショーが行われるのは間違えありません。
そうか、きっと中庭でするんじゃない? でも、雨が降ったらどうするの? うーん。
明日になればきっとわかるよ、と今ひとつすっきりしないままホテルにもどりました。

2001年4月25日


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