ねこのあな


― 森のねこのたわごと ―


トワイライト・ゾーン? (Sweden ねこ三昧珍道中記 7)

ストックホルム中央駅までの移動は、バスが安くて便もいっぱい出てるとのことでしたので、もちろんバスを使う予定でした。
バス乗り場はどこかな〜?ときれいな空港内をフラつく私たちの目に入ったのは、すみっこにあるエレベータでした。そばには空港内の案内マップや、どうやら電車のダイヤと思われるパンフレットが置いてあります。こういうものは必ず貰う主義(?)の私たちは、各々1部ずつ貰って、とりあえずこのエレベータに乗ってみました。電車のダイヤがそばにあったのだし、表記によるとこれは駅に通じるエレベータでしたから、まあ、行ってみようということになったのです。
私たちが次にしなくてはならないことは、スウェーデン国内移動のための電車の予約でしたから、それがここでできたらラッキー!と考えていたのですが、降りたところは直接駅のホームではありませんか。しかも、だーれもいません。ひゅ〜、風が吹いてそうだけど、当然無風です。

えっ、えっ、切符はどこで買うの?勝手に乗っちゃっていいの?車掌さんがいるの?と混乱しつつ見回すと、ホームに自動券売機らしいものが点在していました。
これにお金を入れれば切符が買えるんだ、でも改札はないの?なんて話していると、ホームの電光掲示板に、あと数分で電車が来ると表示されたので、なぜか焦って切符を買う私たち。
今冷静になって考えると、ひじょーにきれいな、でもなーんにもないだーれもいないホームは、まるで「トワイライト・ゾーン」という雰囲気で(大袈裟)唯一コミュニケーションらしきものが取れる自動券売機を使うことがここから脱出できる方法だ!というような気分になっていたのではないかと思われます。乗ってきたエレベータでまた空港内に戻ればすむことだったのに。
滑り込んできた電車に飛び乗ってほっとすると、太ったおじさんが検札にやってきました。よかった、人間が来たよ。

落ち着いて見回すと、私たちの他の乗客はほんの数人、バリバリのビジネスマンらしい男性がちらほらといるだけです。いくら早朝だからと言っても、これはあまりに寂しすぎる。やっぱりトワイライト・ゾーン?
よくよく電車を見ると、ちょうど成田エクスプレスのような感じのとてもきれいな車輛で、更によく考えたらこの切符、かなり高かったのです。

あっ、私たち、バスで安く街まで出るんじゃなかったの?

ここに至ってやっと我に返る私たち。そうです、暇なビンボー旅行者である私たちは、急ぎの用を抱えた人たちが時間をお金で買うために乗る、速くてきれいな電車に、雰囲気に飲まれ勢いで乗ってしまったのでした。
気づけばあの緊迫感はお笑いものでしたが、まあ、いいね、こんなことでもないとこんな電車なんて絶対乗らないもんね、楽しもうね、ということになりました。でも、楽しむような暇もなく「もう着いちゃうよ!」
ナチュラル・ハイになっていた私たちはばかみたいに大笑いしました。

でもまあ、おかげで駅にはちゃんと着いて、迷うこともありませんでしたから、よかったのでしょう、たぶん。

2000年10月25日

国内移動切符調達。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 8)

ストックホルム中央駅は広くて、たくさんの人が行き交っていました。
私たちが乗ったアーランダ・エクスプレス(今勝手に命名)は駅の端っこの方に到着したので、長い通路を通って駅のまん中に出なければなりません。通路の両脇にはところどころに両替所があったり、ファーストフードのお店があったりします。また、大きな楽器を持った若者たちが演奏をしていました。なかなかよい音楽で、ちょっといい気分。

私たちが目指していたのは、電車の切符の販売窓口でした。要するに、みどりの窓口です。
ここで、今回のスウェーデン国内移動のための複雑な経路を確認し、切符を買わなければなりません。
切符の販売窓口はずらーっと並んでいて、ちょっと大きな銀行のような感じです。整理券を取って順番を待つところも一緒です。誰かが1枚取ると自然に次の番号が出てくる日本のとは違い、自分でボタンを押して整理券を取り出すのです。
この整理券発券機のところには、元気で親切な女性が立っていて、どこに行きたいのか確認の上、ふた通りある整理券のうちのどちらを取ればよいのか、どこに整理番号が表示されるのかを教えてくれました。
しばらくベンチでボーッと待った後、私たちの整理番号が示された窓口へ行きました。
優しいお姉さんならいいな、というささやかな願いがかない、眼鏡をかけた優しそうな女性が担当する窓口でした。

なんて簡単で下手ッピな絵だ

スウェーデンでは、バスも電車もまとめて切符を買うことができます。
キャットショーに行くため、少し田舎の方によって、それからまた少し離れたブリーダーさんのお宅を訪ねる予定なのですが、このショーが開かれるお城のある場所とブリーダーさんの住む町とは、直線距離は近いのに電車やバスの便が悪く、一度ストックホルムに戻る必要がありました。
日本で計画を立てていたとき、これってすごい不合理だ、きっと他に方法があるに違いないと思ったのですが、お姉さんに相談したところ、やっぱりその方法しかないね、とのことでした。

スウェーデンの地名は、私たちには発音が難しくて自信なかったので、プリントアウトしたスケジュール表を見せて説明したのですが、驚いたことに私たちの組んだスケジュールが最善のものでした。おお、我々もたまにはやるじゃん!と気分は昂揚しています。

帰途のブリーダーさんのお宅からアーランダまでの「X2000」(スウェーデンの新幹線です)だけは、出発時刻がはっきりしなかったのと、お姉さんが「座席はいっぱいあるから大丈夫よ」(全席指定なのです)と言ってくれたので後回しにし、その他の切符は全て買いました。
最初の山場は無事過ぎました。でも、ここに落とし穴があったとは...。さーて、やるべきことは済んだぜ、ホテルに行ってひと休み〜、と浮かれていた私たちに知る由もありませんでした。

2000年11月11日

ホテル到着! (Sweden ねこ三昧珍道中記 9)

私たちが泊まったのは「ODEN」という駅の近くのホテルでした。1階はコンビニエンス・ストアで、2階に小さなロビーとダイニングがあります。
半端な時間にチェック・インしたので誰もいなくて、意外とすいてるねー、なんて気楽に話していたのですが、これが大間違い。その日の午後にフランスからのご老人ツアーがまとめてやってきて、大にぎわいになりました。
ホテルでの朝食(バイキングでおなかいっぱいにしとこう!)を頼みにしているビンボーな私たちにとって、団体さんは大敵です。時間を誤るとかち合ってしまい、席は取れない、ごはんは減る、うるさくてゆっくりできない、の三重苦になってしまいます。

でも、このホテルにしてすごーくよかったこともありました。
「ODEN」がとても発音しやすい地名だったことです。スウェーデンの固有名詞はスウェーデン語ができない私たちにとっては発音が難しく(それに読めないし)地下鉄の切符を買うにも地図を見せて「ここに行きたいんだけど」と聞いてたんですが、ホテルに帰るときだけは「オーデン!」と元気いっぱい言えばよかったのです。(二人の間では愛情を込めて(?)「おでん」と呼ばれてました)

来てるはずなのに乗れない...

よいお天気でもあり、荷ほどきをした後すぐにホテルの近所を散策することにしました。何かねこグッズのお店がないかな、とロビーのおじさんに「一番近いペットストアはどこ?」と聞いてみたら、地図を広げて丁寧に教えてくれました。不審そうな顔などしないところがホテルマンの偉いところ。

日ざしはとても強く、日なたはとても暑いのですが、一歩日陰にはいるとひんやりしています。風が心地よいので、日陰をたどってたくさん歩きました。
おじさんが教えてくれたペットストアはわりとすぐに見つかりました。小さいお店でしたが、私たちが見たかったキャット・ファニチャー(ねこタワーですね)も置いてあり、早速値段チェック! 値段的には安価でよかったのですが、もっと大きなものが欲しかったので、見るだけでお店を出ました。

少しするとお昼時になり、どのお店も閉まってしまいました。みんなお休みして、そこらのレストランやキャフェテリアで食事をのんびり取る習慣なのです。
どのレストランにも、道路に面して出されているテーブルがあり、そこはすぐに一杯になりました。
せっかくなら私たちもあのすてきなテーブルで(どこがすてきなのか、ちょっと不明)おしゃれに食事したいわ、なーんて思って探すのですが、木陰で気持ちよさそうなところはあっという間にいっぱいになってしまいます。
そして、とてもよさそうな場所なのにすいているお店はやっぱり高そう。結局、この「オープンエリアでおしゃれに食事をする」という課題(?)が実行されたのは数日後になりました。

2000年11月25日


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