ねこのあな


― 森のねこのたわごと ―


タイで感動(?)したこと。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 4)

タイ観光については何も考えてなかったし、実際どこへ行くべきかわからなかったので、空港バスの案内所の人たちに相談してみました。
時間が午後遅めだったのと、バンコックの交通事情を考えると行けるところはさほどなく、(何があっても午後10時前には空港に戻らなくてはならないし、そんな夜遅くに知らない街を歩くのは心配だったので、8時くらいには戻ってくることにしよう、と考えていたので)案内のお姉さんの意見で「若い(?)女性なら、お店がたくさんある街の中心に行くのがいい」ことになり、それに従うことにしました。
せっかくなら見たいね、と言っていた王宮や寺院などは早々と見学時間が終わるので、残念ながら無理だったのです。

そこで、バスに乗って市街地まで行きました。途中スコールのような雨が降ってきましたが、幸いおりる頃にはやみました。
車掌さんから目的地で教えてもらっておりると、そこは上野のアメ横に原宿の竹下通りが引っ越してきたようなところでした。

細く入り組んだ路地に、小さなお店がたくさんならんでいます。若い人向けの洋服が、驚くほど安価で売られていました。
そして、どこにでも中型の犬がゴロンと横になっていたりします。
日本でおなじみのキャラクターが、怪しい日本語と一緒にTシャツになって売られています。
蒸し暑さと荷物の重さで(この頃には、ああ、荷物は絶対置いてくるべきだった、機内持ち込みなんかにするんじゃなかった、と死ぬほど後悔していました)クラクラしていた私たちは、まるで異国の(ここは異国だってば)迷宮に迷い込んだような気持ちになりました。
なんだか何もかもが面白くて、二人でゲラゲラ笑いながら歩き続けていましたが、やがて我に帰り、涼を求めて大きなファッションビルに入ることにしました。

竹下通りからラフォーレに入ったな、という感じで、お店に置かれている商品もぐっと高額になりました。涼しいしきれいだけど、ちょっとつまらないなあ、という感じです。
お腹もすいてきたので、ここで何か軽く食べることにして、おなじみのピザのお店に入りました。このへんの選択もつまらないんですが、まあしかたないかな。二人ともお腹はわりと弱い方で、特に私は強い香辛料がダメなので無理しないことにしたのです。

サラダに見えないけどー。ピザと、サラダバーがあったのでサラダを2人前ずつ注文したら、お店の男の子にサラダは1人前でいいでしょう、と言われました。そうなの?といぶかりつつ、じゃあ何度も取りにいけるのかな、と思って注文しましたが、どうもそうではなかったようです。
タイの子たちは、たっぷり時間をかけ、テクニックを駆使して、まるでバベルの塔のようにサラダを積み上げてくるのです。
今泉さんが「いっぱい取ってきたよ!」と盛ってきたサラダなんて、それにくらべるともうお笑いっていうくらい少ないではありませんか。
あまりに面白いので、二人でサラダバーを観察した結果、このコツは『2人がかりでとにかく葉っぱ類で塀を組み、細かい野菜で中をぎっちり詰める』の繰り返しであることが判明しました。塔をくずさないようにソロソロ運ばれてきたサラダは、各テーブルで小皿に取り分けられ(崩して落とされ?)ていましたが、その一人前の量は私たちが取ってきた分よりもはるかにたっぷりありました。なんだか感動しちゃいました。

2000年9月11日

更なる感動(?)。 (Sweden ねこ三昧珍道中記 5)

暑い国の熱気に当てられてハイになっていた私たちも、時間通りに空港に帰る、という命題は忘れていませんでした。
バス乗り場のありかがわからなかったので、早めに探すことにしました。バスを降りたときに教えてもらったのですが、二人そろって方向音痴なため、そのときには発見できなかったんですー。
重い荷物を背負って、あちこちフラフラしながら探すと、ようやくそれらしいものが発見できましたが、時刻表がないのです。
そこで、バス乗り場の近くの大きなビルのインフォメーションのお姉さんに聞いてみたところ。
「時刻表なんてありませんよ。空港行きのバスですか? さあ...。確か、20分おきくらいにくるはずですけど」とのアバウトなお答え。
一瞬言葉を失う、ダイヤ通りに乗り物が運行する几帳面な国からの旅行者たちでありました。

来たときにかかった時間から考えて、まだ時間はありましたし、外は蒸し暑く蚊もいっぱいいたので、そのビルの中で遊んで待つことにしました。
ここは外国資本のお店がたくさん入っているようで、何と LOFT までありました。
なんでタイまできて LOFT で買い物?と思いながらも、今泉さんは「ねこの名前を書き取るメモ帳が足りない」とお買い物。また山ほどねこを見て写真を撮らせてもらうつもりなのです。
他のお店ですてきなタイ風のインテリア・グッズなども見かけて物欲をそそられましたが、なにせバーツに換金したお金がちょっとしかなく、更にこの上行きから荷物を増やすこともためらわれたので、買い物はそれだけにとどまりました。

外に出ると、ビルから道路へ向かう広い階段は、座ってバスを待つ人でいっぱいでした。なんというか、階段教室で先生が来るのを待っているか、或いはコロッセアムで競技が始まるのを待っている風情というか。何故か「ローマの休日」を思い出したのですが、それはみな思い思いに飲み物やアイスクリームを食べていたせいでしょうか。自分ながら未だに謎です。

幸い私たちの乗るべきバスはすぐにやってきて、無事空港まで行けました。
待っている間、何台ものバスが発着しましたが、驚いたことにドアは開けたまま。かなりの乗客が乗っているのに、です。それが恐ろしいスピードで混んだ道を縫うように走っていくのです。
そんなこと考えられない国からの旅行者たちが、ひえーとおののいたのは言うまでもありません。

コワイよー。

ちなみに、私たちの乗ったバスは乗客も少なく、ドアもちゃんと閉めてありました。高速道路を通るからだと思います。あれは、乗降の激しい路線バスに限ったことなのでしょうか。

2000年9月25日

スウェーデン着! (Sweden ねこ三昧珍道中記 6)

深夜のバンコック空港は午後のあの閑散とした雰囲気とはうって変わって人で溢れていました。どうやら、ヨーロッパやアメリカに向かう深夜便がどっさりあるらしく、タイでリゾートを楽しんで帰国する人々のようでした。そう、私たちのフライトもそうでしたが、ここを深夜に立つと、早朝目的地に着くのです。なるほどねえええ、と単純に感心する無知な私たち。
ほんの短い滞在ながら、バンコックは色々なところで私たちに強い印象を与える街でした。

更なる数時間のフライトの後、ようやく目的地であるスウェーデン、アーランダ空港に着いたのは早朝6時過ぎ。バンコックの蒸し暑さとは全く違う、乾いた冷たい朝の空気が爽やかです。
成田では飛行機に遅れそうになるし、バンコックではつかの間「異空間」に紛れ込んだけど、なんとか目的地に着いたことで、それは晴れやかな気分!なにか、ある種の達成感まであります。おいおい、まだ着いたばかりだってば。
空港内のキャフェテリアでコーヒーを飲んでから、さて、まずはストックホルム中央駅まで移動です。おっと、その前にホテルに電話しなくちゃ。荷物があまりに重いので、チェックインを少し早めにしようということになったのです。

スウェーデンの公衆電話は、みなカード式でした。テレフォン・カードとクレジット・カードが使えます。今後も何度か電話しないといけない用事もありそうだし、スウェーデンのテレフォン・カードってやつも欲しいね、と空港内のキオスクのような売店で1枚買いました。
日本のものとは違い、厚手の紙製で、裏に小さな金属製のチップのようなものが埋め込まれています。
これを電話のカード読み取り機に滑らせればいいはずなのに(指示は電話の小さなディスプレイにスウェーデン語・英語の両方で出るので助かります)「そのカードじゃだめなんだなあ」と何度も断わられてしまうんです。えええええ、なんで〜?と軽いパニックに陥る私たち。電話が壊れてるんじゃないの?と非は相手に押し付けるオバサンチックな態度でいくつかの電話を試しましたが、どれも同じ反応です。カードは買ったばかりだし、こりゃ、やっぱ私たちに問題があるにチガイナイ。
隣で電話を使っている人に聞いてみようと覗くと、中年の紳士がモバイル・パソコンをつないで何やら忙しそうにデータのやり取り中です。カッコイイ...。こんなダサイこと、聞けない雰囲気...。
えい!私だって電話くらいかけられるさ!と気を取り直して、再挑戦です。何気なく今度はカードを裏返して使ってみたところ、簡単に繋がりました。あまりのあっけなさに腰砕け状態でしたが、ホテルにはちゃんと連絡が取れました。よかった。

だから何だって言われそうだけど。

イカした(死語?)オニイちゃんたちの写真の方が表だと単純に考えていたのですが、よく見たら裏と思われたチップがある方に赤い三角印があり、こちらの方が表だったのです。要するにカードが違うと言われ続けたのは、裏返しで読み取らせようとしていたという、それだけの理由からだったわけ。ひー、ダサすぎる!
「でもでも、これって迷うよね。日本に帰ったらみんなに教えなくちゃ!」「そうだよね!」といきなり啓蒙意識に盛り上がった私たちだけど、一体どれほどの人がスウェーデンで公衆電話をかけるんだろう?それに、そんな間違えするのって、もしかして私たちだけじゃないの?

2000年10月11日


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