ねこアパート

1303号室

齋藤 ハルキ・プリン

June 19th, 2001

ほんとのお家へ。

その日も普段どおりに森のねこさんの家で、ノルタ兄さん達と遊んでいたんだけど、お昼までまだ時間がだいぶあるときにお客様があったです。
それは、ジーンズをはいた元気そうな女の人で、キャリーバッグを持っていました。
僕が鳴きながら近づいていったら、とてもうれしそうにしていました。
僕を見てニコニコして、幸せそうでした。
その女の人は、ノルタ兄さん、めると姉さんを見て感嘆の声をあげた後、森のねこさんの勧めるお茶を用事があるとかで辞退して、キャリーバッグをゴソゴソしてあけ始めました。

これ、大好き!

大好きなおもちゃ。

僕はなんとなく事情が飲み込めて来ました。
「この人が僕のお母さんになる人なのかな?」

直感で、ついて行ってもいいかなと思ったけど、その時の僕はたび姉さんや、ノルタ兄さん、めると姉さんと離れたくない気持ちでいっぱいでした。
その女の人が森のねこさんのように優しい人かわかんなかったし、お魚ご飯も食べさせてくれるかわかんなかったしね。
今ではそんな心配した事で、お母さんに悪いなと思っているんだ、実は。心配するような事は一つもなかったから。

えへへへへ。

ずっこけちゃった…。

僕はそっと抱えられてキャリーバッグに入れられました。
森のねこさんと、新しいお母さんは何やら話していましたが、僕は自分の置かれた立場がいまいち飲み込めず、バッグのなかでうろうろしちゃいました。
ノルタ兄さんも僕の様子が変だと思ったのか、バッグに入っている僕に近づいてきてくれました。
でも、お母さんたちの話が終わったのか、僕はバッグごと持ち上げられて運ばれてしまいました。
森のねこさんが、「ハル君、バイバイ!」って言ってくれて、僕は泣いちゃいそうでした。

僕をここから連れて行かないでよぅ!
僕はその後、車に乗ってからもずーっと鳴いて女の人に抗議しつづけました。
「僕を連れて行かないで!森のねこさんちに帰してください!」
ずーっと、ずーっと鳴いていたのです。
でも2時間くらいして、車は止まって女の人は僕を連れてお家に入りました。
そして、僕の入ったキャリーバッグをそっとお家の床に下ろしたのです。
ふたを開けて、じっと僕を優しく見つめてくれました。
その後の事は、また今度はなしますね。

がうー!

僕の獲物だ!

母:
初めて会ったときのハルキは本当に小さくて、可愛かったです。
泣き声もとてもキレイな澄んだ声で、その小さくても堂々とした姿を見たときは、本当に感動しました。
その後車の中でのハルキはずーっと鳴き通しでした。二時間鳴きっぱなし…。内心どうしようかと心配してしまいました。
お菓子をあげてご機嫌取りしても、食べ終わればすぐに鳴き始めて…。
よほど森のねこさんの所から離れたくなかったのでしょうね。
森のねこさん、本当に本当にありがとうございました。

カッコいいでしょ?

おすましポーズ。


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