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わたしがこの家に来ることになったいきさつ | |
話は去年の今頃にさかのぼります。 三月のとある土曜日、おかあさんとおねえちゃんが家に帰って来ると、お庭のほうから猫の声がしたそうです。 「あれ?」と二人が庭に行ってみると真っ黒でしっぽの長い黒猫がいました。やせこけ、とてもおなかを空かしているようなので、ミルクを与えるとごろごろと大きな声でのどを鳴らし「おいしい、おいしい。」というように沢山飲んだそうです。 翌日も、そのまた翌日も猫は来ました。 どうやら、お隣の家も猫ちゃんに餌を与えているようでした。 このうちそこの奥さんに、「あの猫、お宅でミルクをくれたのでこの辺に居着いてしまったけど、黒猫は縁起がいいというからうちとお宅で飼いましょう。」と言われたそうです。 気の弱いおかあさんは、「うちは日中、仕事だから・・・。」とやんわり断ってみたものの、結局断りきれずにそういうことになったのでした。 ここから先は、おかあさんがお話してね。わたし眠くなっちゃった。 |
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(ここから母談) 黒猫は隣の家の男の子に「ヤマト」と名付けられました。 メスで推定1才くらいでした。 スタイルよく、とてもきれいなねこです。ヤマトはやがて私どものリビングに専用のソファを持ち、夜間は室内にて過ごし朝、人間と一緒に出勤、テリトリーの巡視、雀取り、夏の頃は我が家の庭に実るブルーベリーを小鳥から守るガード役を一手にひきうけるというようになりました。夕方になると家族の車のエンジンを遠くから聞き分け、玄関前にてお出迎え家に入る、という暮らしぶり。 ヤマトはご近所でうわさの猫となりました。姿の良さもさることながら、不思議なことですが、隣の奥さんの言うとおりにお隣でも、うちでもヤマトが来てからというもの、続けて両家に懸賞があたったり、少額ではあっても宝くじが当たったりするようになったのです。 そしてもう一つのうわさがたちました。 ヤマトはどうやら、アメリカンショートヘアのブラックスモークらしいと。 こうなると、ヤマトはあちこちでモテモテになりました。 ご近所競って、おいしいご飯をくれるのです。(うちは安価なカリカリだけでした。) そのうち、恋の季節となり、ヤマトは家出。 アバンチュールを楽しんだ後、望まれない妊娠をしました。 そして、5月の連休の頃陣痛が始まり、我が家に駆け込んで子猫を3匹生んだのです。 一匹は死産。一匹は三毛、一匹は黒でした。 もらい手を探して、インターネット上に里親の募集を掲載していただいたりしましたが、めでたく地元で貰い手がみつかり、ほっとしたものです。 その後は、「避妊手術しないから・・・。ねえ。」というご近所の声もあり、お隣と相談して手術を受けさせました。 のみ、だにの心配もあるので、半年に一度注射を受けさせてもいました。 そんなある日、ヤマトはぱったりと姿を見せなくなりました。 何軒か先のおうちで、猫ハウスを用意し、餌を与え、ご家族で可愛がっていらっしゃるということを耳にしました。 ヤマトは、日中出稼ぎにでているねこだったので、自分がどの家の猫という意識は薄かったのでしょう。ヤマトを診て下さっていた獣医さんも、同じご意見でした。 そのうち、その家に何日もヤマトが帰らないと、そちらの家の奥様が「ヤマトが帰ってきていないのだけれど、お宅にいますか。」と訪ねにいらっしゃるようになりました。 年が明けて、しばらくするとヤマトは全く帰ってこないようになりました。交通事故に遭ったのではと心配していましたが、ご近所の方から、数件先のお宅で一家そろって可愛がってくださっていること、彼女も幸せそうにしているということを伝え聞きました。 しかし、娘は猫がいなくなったことで大変さみしがり黒猫の出てくるTVや本を見たがらなくなりました。 近所でヤマトを見かけると、名前を呼んで泣くのです。 そんな娘の様子をみて、猫を飼おうか、いや、猫が欲しいと思うようになりました。 私自身、仕事や諸々のストレスを猫に慰めてもらっていましたから、猫のいない生活が寂しかったのです。 でも、どんな猫にしよう? 思い立ってインターネットで検索し、聞いたことのない種類、ノルウェージャンという名前が目に止まりました。 「なんだ?それ。」と思いながら、たまたまたどり着いたキャッテリーのホームページを開き、「かわいい!」と一目惚れしたのがノエルでした。(つづく) |
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