ねこアパート

302号室

大木あやの&ステファニー

December 5th, 1998

あやののとはずがたり その壱

みなさん、初めまして。大木あやのでございます。
私の数奇な生い立ちを聞いてやってくださいまし。

1985年6月、忘れもしない雨の夕方、道のまんなかでぼーっとしていた私を連れて帰った人がいました。お母さまの妹さんです。
あの時、私はなぜ雨の中一人あんなところに佇んでいたのか、今となっては忘却の彼方でございます。
お母さまが言うには、私はころころして、毛皮もとてもきれいだったし、人間にも慣れていたそうですので、野良ねこではなく、迷いねこだったのかもしれません。
いずれにせよ、お母さまのもとにたどりついたのも縁深いことと、私は大木家の娘になりました。

自分で申しますのもなんですが、私は口数の少ない、おっとりした性格でございます。家族の皆は「あやのさんって、ちょっとはっきりしない」などと言っておりますが、お母さまだけは「とてもしっかりした、芯の強い子だよね」と私を深く理解してくれていて、ありがたいことだと思っております。

大木あやのとなった私は、長じてたくさんの子供を出産する、一人前の母ねことなりました。どの子たちも様々なお宅にヨメやムコとして迎えていただき、私は子孫繁栄にこれ励んだのでございます。
私が齢10歳の時、大木家の人々は、私の年令からいっても最後の出産になるだろうと踏んで、娘を一人残すことにしたのでございます。
ところが、これが過ちでございました。

まあ、話が長くなりそうでございます。この続きはまた次にお目にかかる折にいたしましょう。

出産間もない私と子供たちでございます。
左はしでねんねしているのが
ステファニーでございます。

当時はまだ私も気楽にしておりました。
左端の子が娘でございます。
この頃はかわゆうございました。

December 5th, 1998

ステファニーでーす!
ハーイ、ステファニーでーす!
今2歳半で、女盛り、って感じの私です。
昔、いたーい手術をされちゃって、赤ちゃんは産まなくていいことになってるの。
寂しいかって? ううん、身軽でいい感じよ。
私はずーっとお姫様のまんまで過ごすの。そう生まれついてるの。
これが私の写真。
可愛いでしょう?

うちにはねえ、人間の他に、犬もいるんだけど、こいつがまた落ち着きのないヤツなのよ。やんなっちゃう。いっつも私のこと、追っかけてくるの。天敵って感じ?
あとはね、子供たちのお友だち。すーぐ私をだっこしようとするんだから。イヤでたまらないの。なーんかほんと、子供ってムカつく!
でも私ってほら、お嬢様育ちじゃない? 逃げようとしてもすぐ捕まっちゃうのよ。だから、うーんと嫌な顔してやるの。

あとねえ、毎日知らないオバサンがごはんを食べに来るのよ。あれは誰? ここは私のおうちなのに。
夜、お外で遊ぶオバサンとよく似てる気もするけど、私ってほら、お嬢様育ちだから。どうでもいいことはすぐ忘れちゃうのね。それでもって、世の中のことって、ほとんどどうでもいいことじゃない?

またママに可愛い写真、撮ってもらうから(ママったら、そのためにデジカメ買ったのよ!)待っててね!


戻る

次の分へ