ねこアパート

1301号室

斉藤 たら・うしぞう

January 17th, 2001

ボク、たらだよ!


猫アパートに早く入ろうよってボクがいつも言ってて、母さんはやっと重い腰をあげてくれたよ。すごくうれしい。でも、母さん、ボクの写真ちゃんと持ってるのかなあ。
友達が欲しいって言うと(言わなくても)すぐあげてたからね。

ボクは、札幌生まれの札幌育ち。今も雪が降っているよ。ボク雪大好き。見るのはね。
昨日の夜、母さんが、めるちゃんやノンちゃんみたいに雪の中の写真を撮りたいって友達と電話で話してたけど、ホントかなあ。去年、ちょっと触ったけどちめたかったよなあ。

あっと、ボクがどうして母さんと暮らしているかって?ボクの名前の訳?これ自己紹介だもんね。ボクが小さいときのことだから、あんまり覚えてないんだけど、母さんがよく話すからボクが話すね。ボクわりと話し好きなんだよね。

ボクが生まれたのは1998年7月、最初は美猫の妹とか、じいさんとか犬とかいろんなのと暮らしていたんだ。でも、9月の終わりに前の母さんのやってるお店に行くことになった。よく知らない犬とかヒトとかがいるところで、びっくりしちゃって、ぶるぶるしていたのでケージに毛布を掛けてもらっていたのさ、寒くはなかったんだけどね。何とか一晩寝た次の日、毛布がどけられて今の母さんがボクをだっこした。
ふはー、ボクちょっと知らない人とか苦手だったんだよね。母さんはボクのこと「うちべんけい」って言ってる。・・ちょっとうしぞうが起きて遊ぼうって言ってるから、やっぱり母さんに話してもらおう。

ちょっと恥ずかしいなあ。

ボクって「うちべんけい」?

母談。
その年の秋、いろいろひと区切りついたこともあり、私は北欧に一人で旅行をしてきました。デンマーク、スウェーデン、ノルウェーとのんびり電車で回ってそれはそれは楽しい旅行でした。

帰ってきて数日後、私の猫好きを知っている友人から電話があり「アメリカンショートヘアーと日本猫の雑種が生まれて飼ってくれる人を捜している友達がいるんだけどどう?」と聞かれ、私はふたつ返事で了解したのでした。(飼い方本によると、よく考えてから猫を飼いましょうというのが鉄則なんですけどね。)

・・でも、なかなかその飼い主さんがつかまらなかったそうで、やっと連絡がついたら、「あんまりかわいい子だったので、ペットショップの人に全部買い取らせてくださいと言われ、渡したところ、ホントにすぐにみんな引き取られちゃった。」とのことでした。縁がなかったんだなあとあきらめてみたものの、その後、私は市内のペットショップを覗いては、「どんな子だったのかなあ?」と想像を巡らせていたのでした。実家にいたときに飼っていた猫たちは妹が拾ってきた子ばかりだったのですが、出会うというのは結構難しいもんだとそのとき思いました。

そんな日が何日か続いた後、ふらっと入ったペットショップで、ふらふら子猫を見ていたら、「ノルウェージャンフォレストキャット」と書かれたケージがあったのです。
実はそのとき、猫の種類はあまりよく知らない私でしたが、なんせ、北欧旅行から帰ったばかりだったので「これは運命だ!」と思っちゃったのです。毛布をどけてもらうときれいな赤毛のふわふわくんでした。長めの毛の赤ちゃん猫を見るのははじめてで、そのふわふわの可愛さといったら・・・(失礼)。抱かせてもらうと、その場で連れて帰りたい気持ちでしたが、鉄則を思い出し、「2時間くらい考えさせてください。」と言って、店を出ました。・・・で、案の定、連れて帰ることになったのです。

たら談
ったく、うしぞうはすぐ昼寝したがるんだから。えっ?母さんどこまで話した?
母さんはね、帰りの車の中でも、帰ってきてからもボクがずうっと泣いていたのに困っちゃっていたみたいだね。はじめの晩は眠れなかったらしいよ。でも、立ち直りが早いのはボクと一緒なようだ。次の朝、ボクは「はるき」と呼ばれた。何のことかわからなかったけどね。母さんは電話で友達に「ノルウェーの森の猫だから、村上春樹の春樹をもらったのよー」ってはしゃいでいた(母さんは村上春樹が好きらしい)。でも、どうやら友達に反対されたようだ。母さんが言うにはその人に「あんたねえ、独り暮らしの女が「はるき〜」「はるき〜」って男名前を呼んでるその図が変だよ。」と言われたらしい。そりゃそうだと思ったのか、村上春樹に了解を得てからにしたいと思ったのかどちらかはわからないが、母さんは別の名前を考えはじめた。単純ってことばはボクと母さんのためにあるようだ。母さんが次に考えたのはノルウェー〜魚〜たらorニシン。いったい北欧でどんな旅行してきたんだろうね。まあ、ニシンじゃあんまりだと思ったのか、たらに決まった。ボクは女の子の名前みたいでやだなと思ったんだけど、今思うと覚えやすくて、ボクも呼ばれるとつい返事しちゃったり、母さんの所に走っていっちゃったりしちゃうんだよね。それに、母さんの友達からは「タラのテーマ」のタラと思われていて、かっこいいって時々言われる。でも、その人たちはたいていボクのこと女の子だと思ってたみたいだけどね。

ボク遊びたくなっちゃった。最近、レーザーっていうの?あれ、気に入ってるんだよ。
廊下を思いっきり走れるからね。ねえねえ、母さん、遊ぼうよ。うしぞうのことは今度自分で話をさせようよ。

うしぞうだよ。

うしぞうだよ。三つ指ついてごあいさつ。

母談
ということで、よろしくお願いします。
長くなるので、うしぞうのことは今日は小さい頃の写真だけで、ごあいさつ。
それでは。


戻る