ねこアパート

201号室

石川 美夕

December 24th, 1998

美夕です。(クリスマスのお話)

こんにちは、美夕です。とうとう寒い冬の到来ですねえ。そう言えば、ついこの間、お家のまわりで真っ白なふわふわな「ゆき」がお空から落ちてきたのよ。あまりにも寒くて、私はままのお部屋の1番暖かい場所で1日を過ごしたんだ。「ゆき」を見るのは、ままも私も大好きだけど、寒いのは苦手なんだもの。
あ、それでね、今回は予定してたお話はやめにして、ままに聞かせてもらったすてきなお話をしようと思うの。ちょうど今夜はクリスマス・イブだし、ぴったりだと思うんだ。

何でも、1年中寒くて、1年中冬ばっかりの、遠い遠い国のお話なんですって。
その国はほんとに冬ばっかりでね、本物の冬には「ゆき」がよく落ちてくるらしいの。なんだか、私には住めそうにないところだな。そうそう、私、クリスマスっていったい何なのか知らなくて、ままに聞いたの。そしたら、「キリストさま」っていう人のための日なんですってね?人間の世界ではとーっても有名な人よって教えてもらったわ。それから、クリスマスって、12月25日のことだっていうことも。

ままのお話は、そのクリスマスの日のことなのよ。
12月25日、クリスマスには、とても特別なことがあったりするんだって。何でも、その日に「ゆき」が落ちてくると、1年のとてもワルイことを消してくれるんですって。まるで、消しゴムのカスみたいよね、その日の「ゆき」って。
でね、その日には「きせき」っていうものを持ってきてくれる「まほう屋さん」っていうのがいてネ、その「まほう屋さん」はいーっぱいいっぱい色々なところへと行くんだって。その「まほう屋さん」はたくさんいて、みんな1コずつ小さな袋を持ってるんだってよ。で、その袋の中身にいろんな種類の「すてきなまほうの粉」が入っていて、その年にとても悪いことがあった人やとてもよいことをした人のところへと持ってきてくれるらしいわ。いったい、何をくれるのかしら。でも、明日、私のところへは絶対くるわネ。だって、今年の私はとてもよい子だったんだもの。何しろ、大切なままを身を呈して守ったし(それで怪我しちゃったんだ、えへへ)新入りのチビ2つの面倒もよく見てたし、ね。

ただネ、その「まほうの粉」っていうのは、とても大切なもので、そんなにいっぱいは作れないらしいの。
何でも、「まほう屋さん」が1年かけて、ゆっくりとじっくりと、人間のいう「やさしい」「あったかーい」「しあわせ」とかを、少しずつそおっと、そおっと入れて作ったものだから。ちょっとでも目をそらしたり、忙しくしてみたりすると、壊れてしまうものなんですって。だから、特別な大切なものらしいの。大変よネエ、1年中ずうっとやってるなんて...。
でね、その「まほう屋さん」はそれを持って、色々な人に会いに行くんですって。本当にそれ(まほうの粉よ)を大切に使ってくれそうな人たちのところへ...。え、じゃあ、私たちにはムリなのかナ?

そうそう、その「まほう屋さん」っていうのはね、クリスマスの日に落ちてくる「ゆき」から生まれてくるんですってよ。
でもネ、それは人間の住んでいるところでは生まれてこないんだって。人間はすぐに「まほう屋さん」をワルイことに使ってしまうからなんだとままが言ってた。
で、それは、とても静かな場所で、生きているものたちが皆眠りについていて、「まほう屋さん」が生まれるのをジャマすることをしないところなんだって。うーん、どこなのかなあ...。
「まほう屋さん」はトクベツな「ゆき」の中に入り込んでいて、生まれるときにはポワーッてやさしい音がするらしいワ。
なんだか私、見てみたいなあ。どんなものなのかしら。

でもネ、悲しいこともあるのよ。その「まほう屋さん」は、皆「まほうの粉」を持って行くと、消えてしまうんだっていうの!
かわいそうよネ。なんですぐ消えちゃうんだろう...。
ままは、クリスマスはトクベツ、マホウがたくさんうまれる日なのヨって言ってたけど、その「まほう屋さん」には全然すてきな日じゃない気がするわ。なんだか、ちょっぴり楽しくなくなっちゃったなあ...。
でも、それでも、その「まほうの粉」ほしーな。
来てくれるかなあ...。(来てくれるといーネ!) うん。

ままに、最後に、「まほう屋さん」のこと聞いたら、1年で消えてしまうのは、また新しい命に生まれ変わるためなんだってエ。
それを聞いて、私、とても安心したわ。
もしも「まほう屋さん」が私のところに来たら、言ってあげることを思いついたの。
「私の赤ちゃんたちとして生まれ変わってきてネ」って。

じゃ、今回はここまでネ。まったネエ!


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