はじめまして。
新しく猫アパートにお世話になることになった吉田家の長女、美里です。
日頃パパや、ママからは「みんみん」「みさり」「みとり」「とりとん」とかって呼ばれてます。
なぜ「美里」って名前になっったかってのは、ちょっと長い話なんだけど、聞いてください。
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これが妹の彩と手毬です。私たちって美人姉妹でしょう?
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あれはもう12年も前のこと、あたしたちきょうだいは里子に出されることになって某スーパーのペットショップで女の子はピンクのリボン、男の子はブルーのリボンをつけて新しいパパとママを待っていたの。みんなで仲良くダンゴになって猫トイレの中で眠っていたわ。
よく覚えてないんだけど、あたしの兄弟はあたしとおんなじ色の縞々とか黄色っぽい縞々とか5〜6にんいたと思う・・・。
知らないところに連れて来られて、みんな不安いっぱいなはずなんだけど、気がついたらグースカ眠っちゃってたの。
「このコにします!」って声で起こされて目をあけてみたら今のママがいたの。
ちいちゃな箱に入れられて、「あぁ、これでもうみんなとお別れなんだ・・・」って思うととっても悲しくて、小さな声で泣いちゃった。
新しいパパとママのおうちは少し遠くて、しばらくガタゴト揺れる「くるま」ってやつに乗ってたの。止まった音がしたから「やっと着いたんだ」って思ってたのに、ちっともあたしを箱から出してくれないから、あたし自分で出てやったの。
そしたらその「くるま」のなかにはパパもママもいなくてすっごくこわくなっちゃたから、一生懸命隠れたの。
お買物(どうやらあたしの「トイレとかごはん」を買ってたみたい。)から帰ってきたパパとママは箱の中が空っぽなのに気がついてあたしのことを探そうとしたんだけど、まだ名前も決まってなくてとりあえず(何てことかしら!プンプン)「み〜ちゃん」って呼んで探したのよ。なんだかあたしのことを呼んでるような気がして、せっかく隠れてたんだけど(ぶれーきとかあくせるって名前がついてるところの上の影に隠れてたのよ)ママたちが泣いちゃいそうだから出てきてあげたの。
そしたらママはあたしのことを「ぎゅっ」ってしてくれて、その時あたしは「この人こそあたしの本当のママなんだ」って思ったんだ。
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あたしのことを「み〜ちゃん」って呼んじゃったパパとママはやっぱり「み」で始まる名前じゃなきゃねって考えだして「美里」になったの。
なんで猫らしく「み〜ちゃん」とかもっとカタカナのしゃれた名前(ミッシェルとか)にしてくんなかったの?ってある日聞いてみたらその頃パパとママが住んでたおうちはいわゆる「ペット禁」ってやつで、お部屋の前はそのマンションのおーなーって人のおうちだったんですって。
猫っぽい名前だとバレちゃうけど、ふつうのニンゲンの名前なら大丈夫だろうって考えたみたい。なるほど〜ってちょっと思っちゃった。
2階と3階のあるあたし専用のお部屋もできて、すっごくワクワクしてたっけ。
ただ、ちょっとその頃不満だったのは、ママが朝お仕事に行く時から夕方帰ってくるまで、あたしはそのお部屋から出ちゃいけなかったこと。
でもごはんを食べてお昼寝をしてちょっとするとママはもう帰ってきてくれたから、そんなに嫌じゃなかったけどね。お仕事から帰ってきたママはあたしといっぱい遊んでくれたし。
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そんなある日、いつもは遊びに
行かないお部屋の扉の向こうで、なんか変な音がしだしたの。
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