猫 と 私 〜小春編その2(父親編)〜
前回書いたように私にはとても気になることがありました。
私は猫と暮らしたことが一度もありません。
と、いうのも私の父と母は猫が大嫌いだったからです。
当然小春をもらうことも猛反対にあいました。
でも、今は別々に暮らしているのだからこればっかりは譲れないと私も両親に大反発。
あげくの果てに今度私の家に行ったら猫を捨てるとまで言われてしまった。
やりかねん・・・あの父なら・・・!
でも、絶対私が小春を守るんだもん!!!
くそ親父に負けるもんか!!!
私は、そう固く心に誓ったのでした。
こんなに可愛いんだもん!
さて、我が家にやってきた小春はそんなこともちろん知りません。
今日もママからそれはもうウザイくらいに付きまとわれていました。
ええ、それはもうスートーカーのように・・・。ご飯を食べるときもトイレで大をしているときもこたつの中で眠っているときも絶えず私たちの目線とカメラのフラッシュがあったのです。
小春はさぞかし迷惑だっただろう・・・。
この頃は二番目にやってくることになるゆかがまだいなかったので、小春ものんびり屋さんのちょっぴりお惚けさんなところがあった。
動きが少しおっとりしていて可愛かった。でも、多頭飼いになってからはちょっぴり気難しくなっちゃたかなぁ。
そんな無邪気な小春と遊んでいた午後のひとときだった。
一本の電話が・・・。
『もしもし、母さんだけど』
げっ!
『今からあんたの家行くでな』
げげっ!!
『それは、父さんも来るの・・・?』
『当然やんか!あんたアホちゃう?』
げげげっ!!!
とうとう恐れていたことが・・・!
電話を切った後に、私はなにも知らずにねずみのおもちゃと格闘している小春を呆然と見つめていた。
隠すべきか?
いや。いくらなんでもそれはおかしい。あああ、でもどうしよう〜〜〜〜!!!
オロオロと激しく狼狽している私に小春はねこじゃらしで遊べとせがんでくる。
あああ、こんな時だけれどなんて可愛いんだ!などと思っていたら玄関のチャイムが鳴った。
早い!
思ったよりずっと早くやってきた。
慌てて玄関を開けるとそこには父の姿があった。
『猫は?』
第一声がそれだった。
『いるけど』
『そうか。名前はなんやった、えーっと・・・』
『小春』
『おお、そうやそうや。小春やったな』
などと言いながらドスドスと廊下を歩いて小春のいる部屋へ父は足を踏み入れる。
小春はキョトンとして初めて見る父に顔を向けていた。
どうしよう。。。
と、私の心配はピークに達していた。
「えっ、おじいちゃん、私きらいなの?」
が、それは次の瞬間崩れ去った。
『こ〜は〜〜る〜〜〜』凶悪なハートマーク付き。
なんと言うことであろう・・・。
私の父は厳つい顔してるくせに小春にわざわざ目線合わせるために四つん這いになって、しかも怖がらせないように声も裏返っているではないか!!!
父は小春に近づくために匍匐前進していた。
小春はそんな父をジーーーッと見つめている。(怖くて腰を抜かしているともいう)
『可愛いなぁ〜〜〜』
父は小春を抱き上げてなでりなでりとしていた。
あまりのことに私は呆気にとられていた。
そんな私を後目にいつの間にか母も参戦。
二人で小春をかいぐりかいぐりしている。
『あ、あの・・・猫嫌いなんじゃ・・・。』
『おお、嫌いやで!でも、小春は可愛いのー』
小春も猫です。父よ!
『鼻が黒いんやなぁ〜〜〜そこがまた可愛いの〜〜〜』
何?そのタレ目は?親父!
『毛がフワフワやなぁ〜〜〜〜可愛いの〜〜〜』
親父をコロリと参らせた、魔性のオンナ? らぶり〜小春。
ああ、親父が違う生き物に見えるのは気のせいだろうか・・・?
この後小春を堪能した父は満足げに帰って行きました。
これでわかったことは父は猫が好きだったということでした。
良かったといえば良かったのですが、腑に落ちない気持ちになるのはなぜでしょう?
会社から戻ってきた主人に事の顛末を話すと大うけしていました。
この後しばらくしてからゆかが我が家にやってきます。
そしてさらに雷がやってきて、三匹になった我が家の猫たちに父は遭遇します。
それでもやっぱり父は小春だけがお気に入りのようです。
「私たちだって可愛いじゃん!」by ゆか&雷。ごもっとも。
『小春は目が細くならんで猫やない!梟みたいなもんやな。可愛いの〜〜〜』
実の娘がいうのもなんやけれど、あんたおかしいで!ほんまに!!
まあ、心配事はなくなったけれど。。。
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