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ハナ丸は語る。 ― その二 「保育園開業」 | ||
あんまり大声じゃ言えねえが、うちは時々保育園になる。 今度は7月の半ばに新しい子らが2匹入ってきた。5月の半ばの生まれで、うちに来たときには乳ばなれしたての2ヵ月児。もうすっかり足もしっかりして、毎日運動会なのさ。 あーあ、騒がしいったらよ。 なんでうちが保育園になるかというと。 オイラの恩のあるねーちゃんは、オイラとにゃにゃやを拾ってくれただけあって情にもろかったらしい。 んで、ついでにいうと猫の誘惑にも弱かったんだな。 要するにだ。ひっかかるのはオイラ達だけにじゃないってこと。 さすがに一人立ちしてる大人猫はほっとくんだが、足元がふらふらしてる子猫が、蚤たかりで鼻水たらしてて、耳ダニまみれでおまけに近くのヒト達から白い目で見られてる、ってーともういけねえ。 「今ならうちにはにゃにゃハナしかいないな〜」って時だと、「よろしい!君達の面倒は私が見よう!」ってな気になっちまう。 ずっとうちで飼うのは苦しいから、虫下しして行儀見習いして里子先を探すんだけどね。 この春、ねーちゃんがいつも顔を合わせる餌付け野良さんが子猫を産んじまって(避妊手術に連れてこうとして逃げられたんだそうだ。野良の大人猫はいざとなると抵抗するからね)そのあたりは野良猫の密集地帯、御近所のヒトもささくれだってる……ってんで、ねーちゃんは離乳を待って子にゃーどもを連れて帰って来た次第。 あーあ、うちは狭いんだよっ。ちび猫ならまだしも、大猫になったら4匹で暮らすな厳しいんだからねっ! |
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しかし、ねーちゃんが子猫を拾っちまうのにはもうひとつ訳がある。それはオイラ。 実はオイラもちびどもは好きでねえ。雄なんだけども(去勢雄だが;)経産婦のにゃにゃよりよっぽど子供好きだね。脅かしたことないんだぜ。ちびどものほうで怯えて逃げ回ってさえなければ身繕いだってしたげる。おっぱいは出ないけどおしゃぶりがわりにお腹とか肉球貸したげるくらいのことはするのさ。 へへへ、ちびどもと一緒に寝るの好き。にゃにゃやもご挨拶代わりの身繕いくらいはやってるけど、オイラには負けてるぜ。 |
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今度来た嬢と坊んは、うちに来る前は顔が歪むほど耳ダニたかりだったそうで、ひっきりなしに掻きむしってた。拾ってすぐいきつけの獣医さん(美人なんだぜっ、ヒトにしては)とこで耳掃除と虫下ししてもらったおかげで元気になったけどね。……元気すぎるぜ。 | ||
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白地三毛のすらっとしたお嬢が、幼名「みわ」。 脚も尻尾も長くて、先行き楽しみだねっ。なつこくて甘えんぼなんだぜ。白いお腹出してごろごろいうのさ。 ちっちゃいのに甘えのツボを知ってるね。 |
黒白の坊んが幼名「きび」。姉ちゃん猫に比べてころころしてっだろ。鼻の下の左半分だけと、顎の下に髭みたいな黒ブチがあるんだぜ。短い尻尾をひょんひょん振って跳び回る元気者だ。でも眠るときは、こてん、て寝ちまうんだぜ。目薬さされても気がつかない。 | |
ヒトになついてトイレも覚えてワクチンも打って、虫もみんないなくなったから良いところを探して貰われていくだろうとねーちゃんは言っている。ちょっと寂しいけど……。 ねーちゃん! うちは狭いんだよーっ!! |
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