ねこアパート

903号室

ファーボール・ジョー

ぼく、シックな色でしょ?

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ファーボール・ジョー

ぽすと

ぼくはファーボール。
ふだんは短く「ファー」って呼ばれてるの。

ぼくは今、お日さまがいっぱいの街で、けっこう幸せに暮らしてます。


January 7th, 2000

ぼくのおうち。

ぼくは、たまに夢を見ます。
小さいけどあったかい部屋に、ぼくと、女の人と、男の人が居るの。
女の人は泣いたり笑ったりしてて、男の人は、目がキラキラしてる。
お部屋には大きな窓が一つだけあって、ぼくは窓の外には何があるのかなぁって、覗こうとするんだけど、届かないんだ。
そんな夢です。

ぼくは、何回も何回も、おうちを変えた。
いっこめのおうちでは、若い男の人とぼく、二人きりだった。
その人は、
「俺も自分の家に帰るから、お前も帰れ。」
って言って、行っちゃったの。
二つ目のおうちは、ぼくより先に猫が2匹居て、ぼくは別に、怖くなかったけど、でも、その猫たちはちっともぼくと話をしてくれなかったんだ。
ぼくは、別に、怖くなかったんだけど。
でも、ぼくのおうちはここじゃないって気がしたの。
ぼくが帰りたいなぁって思っていたら、女の人が
「帰っても良いよ。」
って言いました。
よく喋るおばちゃんが、そのたびにぼくを迎えに来て、猫屋敷に連れていくの。

そこにはいっぱい猫が居る。
おじいさん猫も、赤ちゃん猫も居ます。
ぼくは、なるべく静かにしてるんだ。
静かにして、ぼくの居場所に座れればいいから。

でも、ある日。
見たことあるような女の人と男の人がやってきました。
女の人は、テーブルの下にお行儀よく座ってるぼくをじぃっと見つめてる。
男の人は、クシャン、クシャンってくしゃみをしながら、大きい声で何か話してる。
ぼくは、あの人たち知ってる気がした。
それで、おばちゃんがぼくを抱きかかえたかと思ったら、アッという間に女の人にだっこされていた。

「あんた、うちに来るんだからね。」

って、女の人は、なんだか泣きそうな顔で言いました。
だっこの仕方はとっても上手だった。
男の人がそわそわしたので、女の人はぼくを男の人に渡した。
でも、男の人は嫌いです!
ゴツゴツして、凄く痛かった。
手と足が逆さまになりそうになった。
首の後ろをたくさんひっぱるんだよ!
いい匂いがするのは、構わないけど・・・
ぼく、みんなが好きだよ。
ぼくは箱に入れられました。
まっくら、まっくら、まっくら。
でも慣れてるから平気だった。
この後、寒くて広くて眩しいところに行くんでしょ?
今までずっとそうだったもの。

天井があいて、ぼくは表に出てみた。
小さい部屋!!!
凄く、小さい部屋だった!!!
ぼくが隠れる隙間がちっともない部屋!!!
でも、なんでも揃っていたよ。
ご飯とお水、それにトイレもつめとぎも。
つまんないオモチャと、ぼくの嫌いな草もあったけどね。

だけどぼくは知ってるんだから。
ぼくのおうちはここじゃないって。
きっと、別の猫のおうちなんだよ。
おばちゃんがまた迎えに来て、それで。

「ここが、お前のおうちだよ。私はたーちゃん、これは健二。」

って、女の人が言ったんだけど、ぼくはそんなのどうだっていいんだ。
でも、この女の人は好きになっても良いな。
なで方がとっても上手だから。

「ねーえ、この子名前何にしよう?」

あ、やだよ。男の人には触らせないでよ。
痛いんだから!
でも、男の人、くしゃみしながら涙流してる。

「猫アレルギーはねぇ、免疫つけば大丈夫らしいよ。健ちゃん。」
「うん・・・大丈夫。な。ハクショイッ!!」

くしゃみの音でぼくは驚いちゃうよ。
ぼく、この人イヤダ!
大きい音は大嫌い!!

「お前は俺と一緒で、大きい音が苦手か。そっかそっか。お前の名前は、ファーにしよう。ファーボール。毛玉ちゃんだよ。」

そう、男の人が言いました。

「ファー!!」

ぼくは、返事なんかしてやらないんだ。
でも、この人たち。
どっかで見たことがある気がするんだ。
それは秘密だけどね。

*